ラブホで女子会をした時の話

 高校を卒業してから、はじめてラブホで女子会なるものをしました。同級生のエロい女と2人で電車に乗りこみ、アホみたいにアクセスの悪いラブホテルに向かいました。地元のラブホテルは大概がめちゃくちゃアクセス悪くて、車じゃないと行けないようなところばかりだった。高速道路の近くとか、そういうラブホテルは安くていい設備の所が多かった。自転車でも行けるようなところは高かったし、あんまり質が良くなかった。私たちはラブホでカラオケをしたかったから、カラオケができて車がなくてもいけるラブホテルを結構一生懸命探した。寒い中、自転車置き場で必死にスマホでラブホを検索したのはいい思い出だ。いやいい思い出なのか?都会だったらもう少し楽に見つかったのかもしれない。

 ラブホテルに向かう前にアオハルでプリクラをとり、電車ではウキウキしながらインスタのストーリーをあげた。まさに女子高生って感じ。当時の私たちはギリギリ女子高生じゃなかったんだけどさ。電車をおりたら普通の田舎だった。住宅街と、畑と道路くらいしかなくて、こんな所にわざわざ来るのはまじでラブホ目当ての人だけなんじゃないかと思った。

 駅からたぶん20分くらい歩いて、突如としてラブホテルが現れた。田園風景の中で明らかに異彩を放つラブホテル。お城みたいな外観だった。入口はなくて、エレベーターでフロントまで上がるスタイル。無人のフロント、なんかインディ・ジョーンズみたいな雰囲気だった。モニターがあって、映像が流れてる。インディ・ジョーンズのアトラクションに並んでるみたいな気持ちになった。 ドキドキソワソワしながら部屋を選んで、部屋の中に入った。めちゃくちゃ広いベッド、めちゃくちゃ広い風呂、ふかふかソファ、私たちのテンションは爆上がり。お風呂にはいり(なんとシャワーヘッドが光る。意味が分からない)、バスローブを着て、買ってきたカップラーメンとか鯖缶とかを食べた。ラブホのご飯ってなんか食べたくないよね。とにかく、それだけでめちゃくちゃ楽しかった。寝っ転がってアホみたいなAVを見たりした。本当にアホみたいなAVだった。流しっぱなしにしてたら、液晶の中の男女は目を離した隙にセックスに突入していた。アホみたいで面白かった。

 お目当てのカラオケは質がゴミみたいなやつで、普通のカラオケのほうがよかったな。当たり前だけど。マイクは全然音拾わないし、音楽を入れようにもそもそも全然リモコンが反応してくれないし、歌詞が出てこなかった。まじで家で歌ってた方がまだマシかもしれん。でもカラオケするって目標は達成したかったから、うろ覚えの歌詞を踊りながら歌った。女同士だったし、最終的に下着姿でカラオケしてた。まあゴミみたいな質のカラオケだからすぐに飽きてやめたんだけどね。今思えば本当にアホみたいなことをしてたと思う。多分やれと言われれば今でも全然やれるけど。

  大人のオモチャも部屋の中で売ってた。ゲーセンでよくある、鍵をクレーンでとってロッカーみたいなやつから景品とりだすの、わかりますかね。あの透明なロッカーを小さくしたみたいなやつの中に大人のオモチャが入ってた。野菜の無人販売にも似てるかな。オモチャの名前のセンスも秀逸で、「ハイパーブラック」とか「いかせるくん」みたいなそんな雰囲気の名称がついてた。そんな雰囲気、と言葉を濁したのは私がオモチャたちのちゃんとした名称を全く覚えていないからだ。今適当に考えたやつである。でも確か雰囲気はそんな感じだった。私たちは記念に一つオモチャを購入した。いやはや吉川くん、アダルトショップの一件といい私はオモチャを買い過ぎではあるまいか?

 ラブホで遊ぶ、といってもカラオケが出来ないとなると布団の上でゴロゴロしたり、AVを見ることくらいしかやることがなかった。私たちは結構すぐにラブホテルを立ち去ることになった。出口の精算機で、部屋の代金とオモチャの代金を払った。ほかの人に会うことは全くなかったので、プライバシーの尊重され具合に感服した。ラブホテルは、人妻と男子高校生のカップルとか、怪しい商取引をする二人組とか、人には言えない性癖を持った女の子たちとか、きっといろんな人にやさしい場所だ。ラブホテルって、素晴らしいと思う。どのラブホテルも、みんな違ってみんないいを具現化したような様相をしている。今までで一番衝撃的だったのは、磔にできる壁と拘束できる椅子を備えたラブホテルだった。壁と椅子にはそれぞれ手を拘束するバンドがついていたけれど、「なんかこのバンド使うのはきたねえな」と思ってしまった。ラブホ利用者の癖に中途半端に潔癖を発揮する人間はなんなんだ?愚か者か?

 私たちは帰る道すがら、次は彼氏と来たいね、だとか、絶対ここに来たらセックスしたくなってしまうね、だとかをキャピキャピと話し合った。私のラブホ女子会の相手をしてくれた彼女とは最近会えていないが、つい先日「今度は歌舞伎町のホストクラブにでも行こう」と話した。どうして普通にタピオカとか飲まないんでしょうね。これだからダメなんでしょうね。

 

 これは余談ですが未だに彼氏とラブホテルに行くというあの頃の夢はまだ叶えられていません。ごめんね、あのころの私。もっと頑張るね。