就活を意識した風なイベントに参加して打ちのめされた

 つい先日、ちょっと意識が高い感じのイベントに参加してきました。DMでいきなり招待が来て、「なにこれ怪しい!楽しそう!」と思って参加したのになんかめちゃくちゃちゃんと意識高いやつでした。どうやら就活を意識したものみたいで、企業の方の話を聞いたり、ビジネスモデルをグループで考えたりしてきました。

 「やばい、これめっちゃちゃんとしたやつだわ」 11時から19時まで、私はこの空間に缶詰になるみたいです。左に座ってる男は刈り上げてオシャレな七三でハイネックを着ていてベンチャー企業社長にいそうな感じのタイプで(っていうか絶対こういう社長見たことある)、右に座ってる男はちょっとパーマがかかった髪に眠そうな瞳でクリエイティブな雰囲気漂っていた。同じグループにはこの2人以外にも2人の男の人がいて、私以外4人ともみんなmac愛用者だった。私みたいにスクリーンがひび割れたDellを使っている人は一人もいなかった。スマホがひび割れてるのも私だけだった。めちゃくちゃ貧乏人みたいだった。左側に座っていた男はガムの消費量が明らかにえぐいことと、ガムのくわえ方から、喫煙者であると予想した。すると実際に喫煙者であったことが判明した。南無三。

 

 「市場経済」についての説明を受ける際には、みんな活発に手を挙げて発言していた。私も発言したけど全部トンチンカンだった。私以外のグループのメンバーは、macのなんか背景が黒でヤラシイ雰囲気のメモを立ち上げてそこに打ち込んでいた。私はこの間印刷に失敗したレジュメの裏にボールペンでガリガリ書いてた。恥ずかしくて死にてえなってなってた。

 でも市場経済の話自体はすごく興味深くて面白かったんですよ。「縄文時代、黒曜石と翡翠は本来決まった地域にしかないのに分布が広がってるから、贈り物としていろんな地域に贈られていたのがわかる」みたいな話を聞いた時は「あっ!これ世界史でやったやつだ!」って1人でニヤニヤしましたね。ただ、左隣の男がヨーロッパ中世くらいの話の時に「これは人権宣言の前だから〜だよね」って言ってきた時はイラッとした。なんか悔しくてめっちゃイラッとした。知ってる知識をこういうところで披露するのはさぞ気持ち良かろうな。 賢い人って常に気持ちいい思いしてるんだろうな。賢くなりたいな。

 他にも「市場経済の本質は幻想価値をつけて安いモノを高く売る事で、例えばダイヤも市場には少ししか出回っていないから価値があると幻想を抱いてしまうけれど、ただ出回る量が調節されているだけだから実際の価値はそこまででもない。ダイヤモンドは永遠の輝きって言われるからプロポーズに送られるけど、燃やしたら炭だからそこに永遠なんてないんだよ」なんて話もされました。こいつら生きてて楽しいのかな……。

 日本経済転換の話も聞きましたね。豊かさの象徴である三種の神器、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の普及率が1970年には90%を超えたと。私の家にテレビないし、テレビと冷蔵庫も壊れつつあるし、私の豊かさの象徴はどこにいったんでしょう。

 こんな感じで、意識高い系就活セミナーってよりは、社会科の授業みたいな感じだった。その後はグループでの作業にうつったんですが、死にたくなりました。what is 私の存在意義????よしこちゃんはずっとオウムみたいにみんなの言ったことを繰り返してました。だってIOTの話とかAIの話とかよくわかんない。とりあえずみんなの言ったことを理解することに努めましたが、理解するだけの人間、グループワークに必要ですか?ふええ。今回参加した人の中には、アプリの制作をしている人、webライターの人、美大の人、広告動画を作成する人、などなどとにかくめちゃくちゃなのがいっぱいいて、インドとかに逃げたくなりました。インドに逃げたいです。

 そしてそんな私に追い打ちをかけたのは一人の女の人でした。彼女は言いました。「就活とか始めると本当にできる人いっぱいいてさぁ。インターン運営に携わってる人、ボランティアした人、留学した人なんていくらでもいるんだよね。しかも考え方がしっかりしてる人もたくさんいるから……」

 就活したくないんですけど。なんなんですかね。優秀な人材になりたくないです。地元のミニコミ誌を発行する小さな会社とかでのんびりしたいです。もしくはインドに行きたい……。逃げたい……人材として消費されるなんてごめんだ……誰も私を選別しないで……。